肩こり・腰痛について

山内 伸一先生

日本整形外科学会 日本リウマチ学会専門医
寿楽会大野記念病院 院長

山内 伸一先生

肩こりや腰痛と寝具の関係について、
寿楽会大野記念病院 院長、山内伸一先生にお聞きしました。

肩こりや腰痛はなぜ起こるのですか?

最も多いケースは不良姿勢によるものです。不良姿勢とは、正しい姿勢がくずれた状態のこと。たとえば、猫背姿勢や首が前に出ていると、肩から背中の筋肉が引っ張られて肩こりになります。ここで言う正しい姿勢とは、横から見たときに首、肩、腰、くるぶしが一直線上に並ぶ立位姿勢をさします。
さらに、猫背姿勢によって首のカーブが崩れてしまうと、それを補正しようとして腰椎部分に負担がかかる。また、腰椎(ようつい)の軸が崩れるとその乱れを調整する頸椎(けいつい)部分、いわゆる首に負担がかかります。このように、不良姿勢がもたらす痛みの悪循環がおこり、肩こりや腰痛を引き起こすケースが多いのです。

なぜ、まくらを変えると肩こりが改善できるのでしょうか?

上記で説明した正しい姿勢は、寝ているときにも同じことが言えます。正しい寝姿勢とは、正常立位姿勢をそのまま寝かせた状態。
たとえば、まくらが高すぎたり低すぎたりすると、頸椎(けいつい)が不安定になり、首からくるぶしへの理想的なフォルムがくずれてしまうのです。
頭や首のカーブにフィットしたまくらによって、寝姿勢を正しく保つことができれば、通常の肩こりは改善できると私は考えています。
また、自分にあった寝具で寝ることで、身体の緊張がほぐれてリラックスでき、心地よく上質な眠りを得ることができるのです。

腰痛の改善には、マットレスも見直す必要がありますか?

頭の重さは体重の8%、残りの92%が背中や腰など首から下の部分だということを考えると、敷き寝具の役割は大きいといえます。
睡眠中は同じ姿勢で寝ているため、寝返りがうちにくい敷き寝具で寝ていると、同じ部位が圧迫されて腰痛の原因になります。敷き寝具を選ぶポイントは、寝返りがうちやすいものを選ぶことが大切です。